【アクアマリンふくしま・くじら】東北最大級の体験型水族館の「いわき七浜・捕鯨文化」特設展示&レストランのくじらメニューを食べよう!
福島の人気水族館「アクアマリンふくしま」。ここでは日本の食文化の1つ「捕鯨」の紹介コーナーがあり、ミンククジラの骨格標本やセミクジラの髭などとともに、資料を展示しています。
捕鯨というと和歌山というイメージもありますが、福島では小名浜などで盛んに鯨漁がおこなわれてきました。
また、レストランでにはクジラカツなどのメニューもあり! 合わせて捕鯨文化について考える体験ができます。
福島でも捕鯨が行われていたんだ!
と教えてくれる展示です。
クジラのカラダとは?
解説には、以下のようにあります「水中で一生を終える鯨類には後肢はありません。骨盤は小型化し、脊椎骨から遊離しています。鯨類の胎児の初期には後肢が痕跡的に存在しますが、胎児が4センチほどの大きさになると消失します。
こうした事実は、鯨類が陸上哺乳類から進化した証拠ともいえます。
鯨類の水中での移動はもっぱら巨大化した尾部によって行われています。
鯨類は尾部を上下に力強く振幅させるための筋肉を付けるために椎骨の下部にV字状の骨があります。これはV字骨と呼ばれ、鯨類の特徴的な骨の1つです。
また、前肢は状になっており、すべての骨が平板態になっているが、一部の種類を除いて私たちと同じように5本指を持ちます。
筋肉は発達しておらず肘や指を曲げたりすることはできず、上腕部から指先までが1つの部位として機能しています」
旅先で水族館に行くと、その土地の自然や産業への理解が高まりますね!
こんなに長い! セミクジラの髭
セミクジラの髭は非常に長く、大きな特徴となっています。日本では文楽人形の仕掛けに利用されていました。
西洋ではコルセットなどの素材として使われています。
「いわき七浜、捕鯨文化」企画の意味
クジラを食べることがいつの間にか原始的な行為にされています。
クジラの利用を知らない世代ばかりになると捕鯨の技術や文化も忘れ去られかねません。
1986年の商業捕鯨全面禁止決議・モラトリアム以来、日本は細々と調査捕鯨を継続しえきました。
一方クジラ類、35種が年間3億~5億トンのサカナを食べているという調査捕鯨の推定は科学的です。
これに対し人間の獲る水産物は年間1億トンに満たない量です。海洋生物のうちクジラ類だけを保護するのは全く非科学的です。これが日本の主張です。
さて、アクアマリンふくしまの捕鯨に対するスタンスはいかにあるべきでしょうか?
「調査捕鯨のクジラはレストラン行き」として反発するのは私には腑に落ちません。海外にはクジラを神聖視する学者さえいるようです。国際捕鯨委員会は加盟40カ国程度でしたが、現在は89カ国に増え、反捕鯨国がやや優勢です。日本の科学的調査によれば多くの種の資源は十分に回復しているようです。小国を巻き込んで多数決で食文化をめぐる感情論に決着をつけようとする姿勢には帝国主義的なにおいがします。
生き物を飼育して展示する動物園や水族館は、説得不能な過激な環境保護主義者は論外として、一般の利用者の生物に関する感情的な部分にも丁寧な説得で応えなければなりません。
クジラは実に良い例です。感動的なイルカのジャンプやホエールウォッチング。一方捨てるところのないクジラの利用の分かの両立をはかることが大切です。
資源量の科学的な把握のために調査捕鯨は継続し、市場へも供給することによって食文化を継続させる。
縄文時代から続く自然とのつきあい、持続可能な利用の意味を伝えるのが私たちの役割です。
2018年11月、第10回世界水族館会議を主催するアクアマリンふくしまとしては、ここにクジラをテーマにした企画を展開します。
その目的は、「海を通して人と地球の未来を考える」です。
アクアマリンふくしま 館長 阿部義孝